新卒で仕事を辞めたいとき

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新卒で仕事を辞めたい!私もその経験があります。

エントリーシート、自己PR、グループディスカッション、緊張の面接、マニュアル本の読破、業界研究・・・。厳しい就職活動を超えて、やっと手にした内定。

社会人としての一歩を踏み出す、最初の会社・・。誇らしい思いで真新しいスーツに身を包む新入社員たち。

柔らかい日差しと美しい桜の季節にふさわしく、彼ら・彼女らは眩しいほどに輝いています。しかし、そんな時期も仕事を始めれば、あっという間に忘れ去られてしまうものです。

鬼門の1ケ月目で5月病、梅雨の6月に更に憂鬱に。酷暑の7月・8月・・・。

そうやって、季節を乗り越えながら、日々ただ、懸命に目の前の仕事をこなしていき、気づいたら後輩が入社していた、というのが大半の社会人の始め方なのかもしれません。

現在まさに新卒1年目の人には、質問です。今、「仕事を辞めたい」と思っている人はいないでしょうか。もし、いるならば、ぜひ最後までお付き合い下さい。

仕事を辞めたい、と思う理由は様々あることでしょう。「社会人一年目のくせに、生意気言わないでとりあえず踏ん張れ!」という、ド根性がまかり通る時代ではありません。

今の新卒1年目は、長引く経済不況に国内市場の縮小、海外情勢の不安定さ、少子高齢化といった社会不安に晒されながら成長した世代です。

ド根性で世の中を渡っていけた過去世代の新卒たちに比べて、その目はとてもシビアで、精神的にもずっと大人なのかもしれません。「とりあえず頑張る」ことの無意味さを、彼ら・彼女らは知っているのです。

辞めたいと思った時。人間関係が・・・とか、お給料が・・・とか、仕事が忙しすぎて・・・という悩みは、新卒というよりは、入社2〜3年目に典型的な「辞めたい理由」だとすれば、新卒の多くは、入社前に思い描いていたその会社のイメージと現実に大きなギャップがあった場合ではないでしょうか。

ギャップがどんなものであれ、思い描いていた理想がそこにはない、と悟った瞬間、「とりあえず頑張る」ことは、難しく思えるでしょう。

私自身の話をさせていただくと、私もまた、新卒の頃「こんな会社今すぐ辞めたい」と思っていました。

当時の私は、就職したら第一線で大きな仕事をするぞ!という、若さ特有のチャレンジ精神に燃えていました。

私が入った会社は、小規模の外資系IT企業で、私自身にコンピューターのリテラシーは全くありませんでしたが、チャレンジングでポテンシャルの高い人材を求む、という募集要項も私の思いと一致するところがあり、内定をもらったときは有頂天でした。

しかし、実際に入社してみると、私が考えていた華やかでチャレンジングな職場環境は、ただの理想であったことが分かりました。

外資系といっても、社内公用語が英語の・・というレベルの会社ではなく、社員のほとんどが日本人であるうえに、グローバルの親会社とのコミュニケーションも出張の機会もほぼなく、英語が話せない人が大半でした。

また、チャレンジングな・・とか、自分から提案をして・・という点を面接の際も役員が強調していたにも関わらず、仕事のほとんどがルーチンワークで、システム開発案件はごくわずかだったのです。

新入社員として任せられる仕事も、お客様サポートの部署に配属され、「ITコンサルタント」として活躍できると期待していましたが、実際はマニュアルに沿ったシステム操作のご案内が主体で、お客様対応以外はマニュアル作りや障害対応の手伝いといった、非常に地味なものでした。

私は、最初の2ケ月ぐらいは「これも新人のうちだから」と辛抱しました。しかし、そのうちに焦りを覚え始めました。

他の会社に就職している同じ大学の同級生に久しぶりに会うと、「もう先輩の海外出張についていけることになった」とか、「今度、まだアシスタントだけど大きなプロジェクトに入れてもらうことになった」といった、新入社員としては華々しいスタートを切っている話を口々に耳にするのです。

それに比べて私は、マニュアルを作ったり、オペレーターさん用のトークスクリプトを整理したり・・。差をつけられてしまう。

同じ大学で、同じ勉強をしていたはずなのに、入った会社が違うことで、この後の人生に大きな差がついてしまうのではないだろうか。

そして、いつか自分が本気でこの会社を出たいと思った時に、何ら目立ったスキルも実績も身につかず、キャリアアップの機会すら閉ざされてしまうのではないだろうか。

考えてみれば、この会社は新卒からずっと何十年もいる人が多い。

それってそういうことなのではないか・・・。考え始めると、ネガティブなことばかりが頭に浮かんできました。そうこうしているうちに、私の仕事ぶりは次第に雑なものになっていきました。

「こんな仕事ばかりしていて何になるのか。」そんな気持ちが無意識のうちに外に出ていたのでしょう。

案の定、先輩や上司に叱られ、また会社が嫌になる。その繰り返しでした。「私は、こんなつまらない仕事をするために一生懸命勉強してきたわけじゃない・・。」

入社して半年が経ち、季節は秋を迎えたある日のことです。この日のことは、今でも忘れられません。朝、いつものように出社すると、オフィスはにわかにざわついていました。

デスクでメールを開くと、私のいた部署が扱っているシステムのトラブルが発生したのです。

しかも、私もその担当になっているシステムです。「またか。」私は、さして慌てることはありませんでした。

なぜなら、入社してから様々なトラブルシューティング対応に関わりましたが、それら全ての解決方法はすでにマニュアルに書いてあるからです。私は、トラブルを解決しようという思いもなく、ただ機械的にマニュアルを探せばよいのです。

その日も、同じようにしました。しかし、いくら探しても該当のトラブルを解決するマニュアルは見つかりません。

お客様からの「いつシステムは使えるようになるんだ。」という催促の電話が鳴り響く中、私はようやく、焦り始め、ついにはパニックに陥りました。

先輩や上司に相談をしようとしても、その事象自体が私の中でうまく腹落ちしておらず、要領を得た説明ができず、先輩や上司も呆れ果てていました。

泣きそうになりながら、「誰も新人の私を助けてくれないなんて・・・。」と見当違いの怒りを露わにしていると、隣に座っていて、ほぼ挨拶以外の会話をしたことのない先輩が、私に淡々と、

「○○システムを開いて、ログを確認してみたら。おそらく容量がフルになって、データの読み込みができなくなってるんじゃないかな。」とアドバイスをくれたのです。

彼は、トラブルが発生しているシステムに通じているわけでもなければ、担当でもありません。しかし、私がパニックに陥る中、隣で不憫に思ったのか、彼なりに調べてくれていたのです。

結果は、その先輩が言った通りでした。しかも、先輩は私に代わってお客様に説明をし、謝罪をする対応までしてくれたのでした。

「どうして、先輩には解決方法が分かったのですか。」私は、先輩に尋ねました。

先輩は、得意になることも、私の態度を責めることもなく、「ああ、エラーメッセージを読んでいたら、もしかしたらと思って、過去のログも数週間分読み返してみた。そしたら、怪しいコードがあったから、容量を確認してみたらどうかと思って。」と淡々とまた答えるのです。

彼は、マニュアル探しに明け暮れる私をよそに、事象を見つけ、推理をし、解決方法を見出していたのです。

「でも、どうして調査をしてくださったうえに、お客様対応までしてくださったのですか?先輩の担当じゃないのに。私が新入社員だからですか?」

今思えは、愚かな質問をしたものです。先輩の答えはこうでした。「だって、お客さんが困るだろう。」

私はこの日、「仕事」とはどういうものか、少し理解ができたような気がしました。

私たちは、システム開発と保守という仕事で、プロとしてお客様から報酬をいただいています。お客様が優先であって然るべきで、そして、プロの仕事とは、全ての解法がマニュアル化されているほど薄っぺらいものではないはずです。

自分の頭で考え、行動しなければならないのです。

その日から、先輩を気を付けて観察していると、マニュアル作りひとつとっても、誤字ひとつなく、項目に漏れもなく、見た目も美しく読みやすいものを短時間で作成していることに気づきました。

特にお客様からのメールの返信は、即レスに近いほど速く、お客様をお待たせしない、という先輩の姿勢がにじみ出ているようでした。

その先輩だけではなく、他の先輩も、上司も、よくよく気を付けてみれば、皆得意分野はそれぞれ違いますが、どれだけ地味な仕事をしていても、間違いなく尊敬すべき「プロ」なのだということが、少しずつ若い私にも理解できるようになりました。

なのに私は、仕事の見た目の派手さや規模にばかり目を取られ、ひとつの仕事をやりきる、お客様のことを考えるなどは眼中になく、ややもすれば、どこかで先輩や上司のことをバカにすらしていたことさえあったのです。

恥ずかしくなりました。そして、私も将来、何になるにしても、仕事のプロになりたい。そう思いました。

あの日から私はマニュアル作りであっても、電話対応であっても、まずは完璧にやってみる。それができるようになったら、自分なりの工夫を加えてみる。という具合に、少しずつ自分の仕事の質を高め、仕事が楽しくなりました。

「こんな会社にいても未来はない。」と思っていましたが、今私は、転職によるキャリアップを果たし、当時の私が憧れていた、大手外資系企業で大規模プロジェクトをリードできる立場になりました。

しかし、根底の考え方は、あの日と何ら変わりはありません。お客様を優先に、そして、仕事の大小に関わらず、丁寧なプロの仕事こそ評価されるものだということです。

今、新卒でツライ思いをして、「辞めたい」と感じているあなた。

あなたがもし、不正を働くことを何とも思っていない会社にいる場合や、人を人とも思わず、労基法に反した仕事を強要するような会社なのであれば、今すぐに辞める決断をしてください。

しかし、そうではなく、「自分が考えていたイメージと違う」「こんなはずじゃなかった」という理由で辞めたいと考えているのであれば、心にかけてほしいことがあります。

社会には、自分がやりたい、面白いと思う仕事や環境が、予め用意されているということは稀です。

また、先輩は皆優秀な人で、常に自分の周りにいて、その人について勉強したい、と考えるのも間違いです。新入社員といえども、給与をもらい、その会社で働いている以上は、その職場における「プロ」なのです。

プロは、人に依存することも、自分の非を環境のせいにすることもありません。

実際に経験が少ない新入社員であっても、プロ意識だけは捨ててはいけないのです。周りにいる上司や先輩が、どの道のプロなのか、明日からよく観察してみてください。

きっと何かが見えてくるはずです。新卒の1年目は、仕事のプロとしての素地をつくる時期です。資料の作り方、電話の掛け方、名刺交換のしかた、お茶の入れ方・・。

全てがプロとしての勉強で、現役の優秀なビジネスパーソンは、こういった点もしっかりできているものです。

あと何年後かに「自分が新入社員の頃は・・」と昔を懐かしむことがあるでしょう。その時に。「あの頃がんばった自分がいたから、今の自分があるんだ。」と胸を張って過去を懐かしむことができるよう、今の蕾の時期を心置きなく、学んで、そして生きて下さい。

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